海外に学ぶ日本の漁業の在り方~魚を守る漁業への転換~


近年、日本では魚が獲れなくなった。大変だ。如何すればいいのだろう。よその漁業国はどうなっているのか。こんなことで騒いでいるのは日本だけのようです。

今年(2015年)10月2日、帝国ホテルにおいて地球環境フォーラム「漁業国日本の凋落と魚の危機、海をどう守る?」という分科会が開催されました。

この分科会から分かったことは世界の中で日本だけが遅れているということが分かりました。フォーラムに示されたグラフには、日本の漁業生産量は減る一方です。

世界主要漁業国との比較においても、1977年と2013年の漁業生産量を比べると、減っているのは日本だけなんです。

どうして漁獲量が減ったのかと考えた時、最も大きな原因は「獲りすぎ」と言われてきました。

ノルウェーでも漁獲量が急激に減少した時期がありましたが、その後「獲り放題」の漁業に、法の規制をかけました。

「漁獲してもいい量の範囲内で獲る」方式に切り替えると、漁業は儲かる産業に変わったといわれます。漁師の数は減ったが、一人あたりの漁獲高が増え、実収入が伸びてきたのです。

ノルウェー政府は将来にわたって安定した漁業が可能になるために、「魚の健康」「魚の福祉」「食の安全」を考えた漁獲高を法によって規制したのです。

日本で法規制するとなると、当事者からの反発が出てうまくいかないものですが、北欧では「規制は弱い立場の人を助けるもの」と受け止めています。

ノルウェーでは小さな漁船を廃船にして、大きな船に切り替えていき、漁師一人当たりの収入は増え、政府の補助金などなくてもやっていけるようになったのです。

この様な改革が可能になったのは、ノルウェーの人たちが、「科学的研究」と「自然」に敬意を持っているからだと、北田先生(世界海事大学助教授)の指摘がありました。

一方日本では漁業権を持っているのは漁協です。ノルウェーのような改革をするにはあまりにも複雑に各組織が絡み合っているだけに、難しさはあるようです。

漁協があり、市があり、県があり、水産庁がありと、改革にはてこずりそうですが、目指すべき方向性ははっきりしているはずです。

今までのように獲りすぎて魚がいなくなっては元も子もありません。漁業は安定して漁獲できる持続可能な産業でなければなりません。

そこで科学による客観的な魚の量を把握して、獲ってもいい量を数値でもって示す必要があります。これまでの漁業の慣習を切り替えるためには、信頼できる科学者陣と、法による規制が不可欠です。

今日も安定した漁ができたと謙虚に喜べる漁業でありたいものです。そして市場には安定した価格で消費者に、美味しい魚を提供してほしいものです。
(出典WEB RONZAより)

 

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