大阪湾は魚の宝庫、都会と共生する漁業


なにわは一般的に「浪速」と漢字で書きますが、「魚庭」と置き換えることができるのです。
そしてこの「魚庭」が古来より、「なにわ」に通ずる由来でもあるのです。
遥か昔、大阪湾はチヌが獲れる豊かな海だったことから、「茅渟(ちぬ)の海」と古事記に記されています。
戦国時代が終わり、豊臣秀吉が天下の実権を握った安土桃山時代以降、大阪は「天下の台所」としてさまざまな海の幸や山の幸が流通して、大阪の経済が潤っていたのでした。

天下の台所・大阪の街の目の前には広大な大阪湾が広がり、以降江戸、昭和時代に渡る長い間、実に様々な海の幸が漁師たちによって漁獲されていました。
しかし、以前東京湾のおはなしで取り上げた様に、大阪も明治維新以降近代都市化が進み、昭和20年の第二次世界大戦以降は急激な経済成長に伴い工業化が推し進められました。
大阪湾は大型船舶が停泊できる港湾施設の増設、工業用地の確保のため埋め立てが進みます。

そして工業、家庭排水が河川から湾内に注がれ、東京湾と同じく大阪湾も公害により汚れた海になり、魚が住む環境ではなくなりました。
1970年代になり公害により自然環境は勿論、生物や人間の体に大きな被害が及ぼされたことを反省し、公害対策の法律の制定や基準評価の徹底化を図ります。
海や河川に対しては水質汚濁防止法の制定や、水質総量規制の制度を導入して汚濁が激しい地域を対象に一定の基準値以下まで有機汚濁物質を削減することを目指しました。

現在、大阪府には13か所の漁港と、漁協は24団体あります。
大阪市ではベッコウシジミの放流を行っています。
このシジミはヤマトシジミと少し異なり、砂地に生息するのでべっ甲のように茶色の殻が特徴的です。
大阪市内の海がきれいになったので、ベッコウシジミはコンスタントに漁獲されています。

大阪市内から大阪湾沿いに南下してゆき、堺、岸和田、泉佐野周辺の泉州は漁業が盛んです。
今では泉州沖に24時間運用の関西国際空港が存在しますが、水質は大変きれいで海苔や昆布の養殖、イワシ、マサバ、アジ、カサゴ、カレイ、アナゴ、キス、チヌ、ネズミゴチ、ワタリガニ、シャコなど様々な種類の魚や甲殻類が獲れるのです。
ワタリガニは岸和田のだんじり祭りで欠かせないお供え物です。

そして、泉州沖はタコの好漁場でもあるのです。
関西では明石のタコが有名ですが、泉州のタコも負けず劣らず有名で美味しいのです。
明石タコは身が締まり、固い歯ごたえが美味しさの理由ですが、泉州タコは身が柔らかいところに美味しさがあるのです。

大阪には商店街やアーケードが街の至る所にあり、大型スーパーよりも元気に商売をしています。
その一角の鮮魚店では、地元大阪湾で獲れた新鮮な魚介類がぎっしり並ばれて、これまた元気な大阪のおばちゃんたちが夕食のおかずの魚を選んでいます。
地元の漁業や販売する鮮魚店が活発であることは、魚を買う人たちが進んで地産消費をするので、更に地元経済の発展に繋がることにありますね。
大阪の商店街は歩くだけでも賑やかで活気があって楽しいのです。

 

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