サバ小噺 その3

さて前回はサバの生きぐされから死んだ魚の死後硬直についてお話しました。
死後硬直した魚は身の中にあるATP(アデノジン三リン酸)の分解過程によって起こる現象で、ATPが完全に分解されたときが最も死後硬直が進んでいることをお浚いしましょう。

魚の身はATPの分解と同時にIMP(イノシン酸)が生成されてゆきます。
イノシン酸といえば何度かこのブログで登場しているお馴染みの物質、旨味成分の基となるものです。
そしてイノシン酸はATPが完全分解したときが最大値となり、もっとも旨い時期なのです。このように魚の身には様々なタンパク質分解酵素が含まれています。
内臓に含まれているタンパク質分解酵素は作用が最も強く、魚が生きているうちは食べたものを消化する役割がありますが、魚が死んでもすぐには酵素の働きは止まりません。
そこで死んだ魚は自分の体を自分自身の酵素で消化してゆくのです。

ところが空気中には多かれ少なかれ腐敗の原因となる細菌や微生物が漂っており、これら腐敗菌は酵素によって分解された肉を非常に好みます。
そのような状態になった魚の肉に腐敗菌が付着すると、すぐに腐り始めます。
さてサバですが、この魚には体内に含まれているタンパク質酵素物質の働きが他の魚よりずっと強く、死ぬととても早い速度で自分の体を分解し続けます。
そのため「生きぐされ」と言われるほど、早く腐敗菌の虜にされてしまうのです。
ただ、この酵素や腐敗菌の速度は温度を低くすればするほど働きが遅くなり、冷凍にするとほとんど変化が見られないのです。
冷蔵技術が未発達な昔の時代、魚屋さんは氷の上に魚を乗せて冷やして腐らせるのを少しでも遅くしようと苦心していたのであります。

2015年の国内サバ水揚げ量は55.7万トン、そのうち茨城県の14.3万トンが日本一の記録を誇っており、第2位に長崎県の6.6万トン、第3位に静岡県の5.7万トンと続いています。
値段も手ごろで美味しいサバなので、様々な料理に使用される機会も多く日本人にとってとても馴染みが深いです。
脂が乗ったサバを塩焼きにしてアツアツご飯に載せて食べるこの旨さ、思い出すだけで垂涎モノです。
秋が深まる今日この頃、美味しいサバで今日の夕食を楽しもうではありませんか。

画像出典元:https://ameblo.jp/mimimisuke/entry-12295323632.html

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サバ小噺 その2

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