本物の「鱧」を使った伝統芸能・鱧切り祭り 兵庫県篠山市


京都・大阪の夏はハモがないと始まらないと言っても過言ではありません。
優雅な京料理にも欠かせない魚で、6月の八坂神社祇園祭では「祭鱧」として祀られます。
ウナギの仲間で、ウナギよりも長く歯が鋭いのが特徴で、鋭い歯から(歯魚:ハモ)と呼ばれたのが名前の由来です。
カミソリのように鋭い歯なのに、性格が獰猛なので漁師さんは釣った鱧を用心して船に引き揚げ、直ちに活け締めをします。
特に産卵期の鱧は更に気性が荒く、何でも喰いついてきますが、この時期は卵や白子が大きくなって胃と腸は圧迫されてしまい、全く餌を食べることができません。
餌を食べられなくても獰猛に喰いつく習性はまだ明らかにされていません。
さてそんな鱧ですが、兵庫県の中部にある篠山市の沢田八幡神社では、大蛇になぞらえた大きな鱧を切り、 秋の収穫に感謝する「鱧切り祭り」が毎年10月に行われています。
民俗学者柳田國男氏の著書「日本の祭」に記載されている、400年にわたって歴史ある祭りは、とてもダイナミックで見応えがあります。
言い伝えによると遥か昔、篠山には大きな湖がありました。
しかし自然に埋まったり、人によって埋められたりして湖が次第に小さくなってしまいます。
その湖に棲んでいる主の大蛇が追い詰められて、遂には湖から這い出て田畑を荒らし、牛に被害を与えます。
大蛇の怒りを収めてもらおうと毎年人身御供をしていましたが、侍が一策を案じて毒酒を使って大蛇をおびき寄せて首尾よく退治したというお話です。
そして、この大蛇は水難を意味しています。
この「鱧切り祭り」に使う鱧は長さ2メートル以上、重さ20キロと、とても大きなものなのです。
神社の氏子が収穫のお祝いをしていると突然激しく扉を叩く音がして、大蛇に見立てた鱧が登場します。
大蛇の様に鱧の体を波打ちさせてみたり、大きな頭を振り続けて荒々しい様相を演じ、周囲の氏子役の役人は驚く顔を滑稽に表現します。
かみしもを身にまとった「鱧切り役」が出刃包丁で鱧の体をなぞって、勢いよく持ち上げてひっくり返します。
大蛇を退治することで水害から守られ、秋の収穫の無事を祝い感謝をするのです。
この祭りで使用する鱧は出来るだけ大きな鱧を市場で購入して、腐らない様にその場で内臓を取り除きます。
取り除いた内臓の代わりに藁を腹中に詰め込んで、切開した部分を糸で縫って藁が見えないようにします。
そして街に運ばれた鱧は、祭の直前まで魚屋の冷蔵港で保管されるのです。
祭の主人公の巨大な鱧を手に入れるには並々ならぬ苦労があるのですね。
画像出典元:http://matsusyo.cocolog-nifty.com/blog/2014/10/post-4889.html

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