魚と鼻


花粉症を持っている方たちはこれから辛い季節に入りますね。
くしゃみは止まらない、鼻は詰まる、喉の奥と目が痒い…春の入り口は毎年憂鬱です。
暖かくなるのは嬉しいんだけどなぁ。
私より花粉に敏感な妻が鼻を詰まらせながら、こんなことを聞いてきました。
「魚って鼻があるの?」
ええ、勿論ありますよ。
魚類は片側に2対の鼻孔を持っていて、水が入る穴(前外鼻孔)と出てゆく穴(後外鼻孔)があります。
マダイは鼻孔の形状で天然か養殖か判別するのです。
片面に鼻孔が上下にあるのが天然のマダイ、上下の鼻孔がひょうたんの形の様に一つに繋がっているものが養殖マダイです。
養殖マダイの鼻孔が崩れた形になる理由について、密度が濃い環境で飼育をしていることが関連しているとみられていますが、詳しい理由は判明されていません。
さて、魚に鼻孔があってその中に水が通ることはわかりましたが、匂いを嗅ぎわける嗅覚についてはどうなのでしょうか。
実は魚、犬並みに鋭い嗅覚の持ち主なのです。
陸上動物は空気中に漂う揮発性の匂い物質(メタン物質)を嗅ぎ分けますが、魚は水中に漂う水に溶けた匂い物質(アミノ酸)を嗅ぎ分けることができます。
魚と嗅覚のメカニズムについて、前外鼻孔から入った水が鼻の奥の嗅覚板に触れたときに水中に溶けているアミノ酸を匂いとして捉えます。
この匂いを嗅ぎ分ける感度はヒトの一万倍以上とも言われています。
鼻孔を通り過ぎた水に含まれているアミノ酸を匂いとして捉えたら、何の匂いかということを脳で情報処理をして自身の行動を決定します。
索餌行動、生殖行動、成群行動、逃避行動、回帰行動など様々な行動所作に嗅覚が役立つのです。
サケはとくに嗅覚が鋭いことで有名で、外洋で生活したあと自分が生まれた川に帰って来るのは、母川の匂いを記憶しているからなのです。
川によって含まれるアミノ酸の量や種類が異なりますが、いずれも含有量はとても低い濃度です。
少ないアミノ酸の量や種類で、記憶している川の匂いを正確に嗅ぎ当てるというのは、生命の神秘を感じますね。
このアミノ酸は鼻の嗅覚以外に、口の中の味覚器でも捉えることができます。
餌が美味しいか美味しくないか、つまり食べられる餌か、そうではないかを判別することができます。
魚の鼻のスゴさについて感服した次第であります。
ところでお魚さんは我々みたいにアレルギー反応というものはないんだろうなぁ、きっと…ヘックシン!
画像出典元:http://ameblo.jp/68060/entry-12042734727.html

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