2015-08

新子(しんこ)

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夏しか食べられないのが新子ですね。6~7月に旬を迎えます。江戸っ子は新子を食べないと夏が来ないとまで言います。

夏場の限られた時期しか市場に出回りません。走りの時期にはとてつもない高値で取引されます。江戸前のすし屋では欠かすことができない寿司ネタです。

新子はコハダの稚魚ですが、東京のすし屋にとっては数ある寿司ネタの中でも最もこだわりを持って、大切に扱う魚です。

江戸っ子の気質を表す「女房を質に入れても初鰹を食べる」という意地と誇りと見栄の世界が、東京のすし屋の「新子」に対する世界ではいまだに生き残っているようです。

新子の初物としての仕入れ値は、1㎏3万円~5万円の値がつくこともあるのです。この値段が2週間ほど続くのですからすごいですね。

コハダの卸値は1㎏1000円~3000円ほどですが、3000円となると敬遠されるようになります。新子との価格差はこれほど大きいものがあるのです。

新子は生後4か月ほどの稚魚です。寿司職人は新子の初物が入ると快い緊張感を覚えるといいます。サイズが小さい繊細な魚です。

新子の仕込には寿司職人の技のすべてが集約され、寿司店の意地と誇りとメンツにかけてお客の舌を唸らせようと努力するのです。

新子は出世魚です。シンコ→コハダ→ナカズミ→コノシロと名前が変わります。
すし屋で新子が食べられるのは6~7月頃しか食べられません。

新子のおいしさを表す言葉に、「夏の初風が吹き始めるほんの数日間、新子はすし屋に登場する」という表現がなされます。

新子は体長およそ6~7㎝までの幼魚。
コハダは体長がおよそ12㎝までを言います。
ナカズミはおよそ15~16㎝くらい。
コノシロは体長が17㎝以上の成魚のことです。

新子は小さいけれど一番の高級魚です。次のコハダはぐんと値段が落ちます。その後ナカズミはもっと値が下がり、コノシロに至っては大変廉価に手に入る魚です。

新子からナカズミまではすし屋で大変な人気ですが、コノシロになると鮨には使いません。
コノシロは骨が多いが脂ののりがあって、塩焼きがおすすめのようです。

コノシロの「なれ寿司」もお勧めです。なれ寿司の本場和歌山県御坊市では、時間をかけて熟成させたコノシロを、なれずしにします。最高の「なれ寿司」を試してみたいものですね。

岡山県に「ママカリ」と呼ばれる魚がありますが、これは新子の成長した「コハダ」のことを指しています。ママカリ寿司もおいしいものですね。

新子という呼び名は、いろんな魚にあるということが分かりました。本来新子とは汎用的な呼び名であり、関西地方で新子と言えば、「玉筋魚(いかなご)」の幼魚を指します。

この新子をボイルして乾燥させると、「かなぎちりめん」となり、このかなぎちりめんを佃煮にすると「小女子(こうなご)」となります。いかなごの幼魚を生のまま佃煮にすると「いかなごの釘煮」になります。

ほかにもアオリイカの稚魚なども新子と呼ばれるようです。調べればもっとたくさんあるかもしれませんね。

画像出典元:http://narashi.blog.jp/

 

車海老(クルマエビ)

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夏のおいしい魚には「車海老」があります。中でも車海老は味の良さでは定評がありますね。「姿 伊勢海老、味 車海老」といわれるほどのおいしさです。

車海老が出世エビといわれることはご存知でしたか?魚河岸では車海老の重さが30g以下のものを「巻」、その中でも小さいものから順に「小巻」「才巻」と分けられます。それ以上のものを「車」と呼び、順に「車」「大車」と呼ばれるようです。成長とともに呼び名が変わるのですね。

天然ものの車海老の旬は6~8月、養殖物は12~2月といわれます。成長したクルマエビは体長が15~20㎝ほどです。

小さな海老は味がよく天ぷらに、大きなエビは塩焼きやエビフライに適しています。

車海老には栄養素がいっぱい詰まっています。
・豊富に含まれるアミノ酸のうち、グリシン、アルギニン、プロリン、リジンの4つのアミノ酸が3割を占めています。肌の水分や油分、弾力を保つコラーゲンの主原料です。

・殻にはキチンという不溶性食物繊維が含まれており、便秘の予防や大腸がんの予防、コレステロールを体外に排出する作用があります。

・ビタミンEが豊富で、活性酸素を抑える抗酸化作用があり、体内の不飽和脂肪酸の酸化を防ぎ、動脈硬化や心筋梗塞など生活習慣病予防に効果があります。

・タウリンが脳卒中や高血圧、心臓病の予防や疲労回復、視力回復に効果を発揮します。

車海老は夜行性で、昼間は砂の中に浅く潜っています。夜になると泳ぎ出てゴカイや貝類を捕食します。

車海老の生産量第一位は沖縄県です。沖縄県の車海老は陸上のいけすでの養殖と、遠浅の海岸を堤防で仕切って、自然の干満を利用した海水交換を行う築堤式の2種類があります。

エビは縁起物として昔から重宝されてきました。エビの姿を老人に見立てて、「海老」の漢字の由来となったといわれます。
お中元などの贈り物にも車海老を産地直送品として人気がありますね。

クルマエビをおが屑にくるんで地方発送されます。届いた箱を開けるとおが屑の中にクルマエビが生きたまま届いているのです。貰った方は何とも言えない嬉しさがあります。

刺身にしたり、踊り食いにしたり、その夜は車海老の話題で盛り上がること間違いなしですね。贈り物といっても天然物とは限りません。むしろ養殖物のほうが多いと思われます。

厳密に調べれば味の違いはあるのでしょうが、食べ比べない限り違いは殆どないようです。

見た目も美しく、食べてもおいしいクルマエビですが、俳句の季語には「夏」となっています。しかしクルマエビを詠んだ俳句が見当たらないのはどうしたことでしょう。

スーパーなどの店頭には、車海老は一年を通して見かけるように思います。天然物と養殖物が、季節感を薄めてしまったのでしょうか。