2015-11

秋サバの美味しい食べ方

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秋茄子は嫁には食わすなという諺がありますが、同じような言い回しで、「秋鯖は嫁には食わすな」という諺もあります。

封建的な家族制度の中で、言われてきた諺ですが、秋の茄子が大変おいしいので、もったいないから嫁には食べさせないという姑の嫁いびりに使われた諺です。

解釈の仕方で、茄子は体を冷やす作用があり、種も少ないので子宝に恵まれないから大切な嫁には食べさせたくないという、意味合いにもとれると言われます。本当に思いやりなんでしょうか。

しかし、秋鯖に関して考えれば、前者の嫁いびりで使われた諺のように聞こえます。それほど秋鯖は美味しいということですね。

鯖は全国各地で水揚げされ、日本では大変なじみのある魚です。鯖の旬は「秋」です。
秋鯖と呼ばれて9月から11月にかけて一番おいしいとされる時期です。

鯖は春ごろ伊豆沖で産卵し、餌を食べながら北海道沖まで北上します。産卵のために南下を始めるため、脂の多い北海道沖、八戸沖、三陸沖、常磐沖、銚子沖、伊豆沖の順序で旬が移ります。

鯖はスズキ目サバ科サバ属・グルクマ属・ニジョウサバ属に分類される魚の総称です。日本近海ではマサバ・ゴマサバ・グルクマ・ニジョウサバの4種類が生息しています。

■秋鯖の魅力

①豊富な秋鯖の栄養

・鯖には健康に欠かせない栄養素が多く含まれています。
ビタミンA、B1、B2、ミネラルやカルシウムがたっぷり詰まっています。
鯖の血合にはビタミンAとEがあり、貧血の予防には欠かせない鉄分が含まれているのです。

・DHAとEPAは特に注目したい栄養素です。青魚の中では他に類を見ないほど多くの含有量です。健康を維持するために欠かせない必須脂肪酸です。

血中の中性脂肪やコレステロール値を下げ、血流を良くすることで動脈硬化を防ぐことができます。DHAやEPAを上手に摂取するには、鮮度の良い旬の魚を食べることです。

②鯖のダイエット効果も見逃せません。

特に旬の秋鯖には痩せるホルモンGLP-1が効果的に分泌される効果があります。
GLP-1が多く分泌されている人は痩せています。逆にGLP-1の分泌が少ない人は痩せにくい体質になります。

青魚に多いEPAが、小腸でGLP-1を出す細胞を刺激して、GLP-1を大量に分泌させる作用があるのです。鯖缶ダイエットなども話題になりましたね。

③秋鯖のいろんな料理
・塩焼き
・煮つけ
・シメサバ
・揚げ物
・刺し身
旬の鯖は身が肉厚で、脂がのって最高においしい時期です。
脂と酢がとてもよく合い、鯖のうまみを引き出すシメサバ。鯖は調理法と調味料の組み合わせで幾通りもの料理ができます。

■鯖を食べるときの注意

アレルギー症状は鯖によるものではなく、鯖に寄生する寄生虫によるアレルギー反応と、アレルギー様食中毒の2種類があります。

①蕁麻疹などアレルギー症状が出る。

刺身やシメサバを食べる時、寄生虫アニサキスに注意が必要です。アニサキスは加熱(60℃1分)や冷凍(-20℃以下)で死滅します。
アニサキスは地域によって種類が違うため、生食習慣のある地域の鯖に寄生する種類は、比較的安心できるようです。
生食用を買う場合は、適切な冷凍処理されて解凍したものなら問題ありません。

②アレルギー様の食中毒

アレルギー様の食中毒は、鯖に限ったことではなく、赤身の魚で起こります。カツオやイワシなどでも起こるわけです。

理由は筋肉中に含まれるアミノ酸の一種、ヒスチジンが含まれていますが、鮮度が落ちるにつれ酵素をもった細菌が増殖します。これによりヒスタミンを作り出し、アレルギー反応に似た症状を発症するのです。

秋が旬の美味しい秋鯖は、買い物したら保冷剤をもらい、帰ったらすぐに冷蔵庫で保存しましょう。また、生食しないものはきちんと火を通すなどして、注意しましょう。

EPAやDHAなど不飽和脂肪酸は、酸化しやすいので、鮮度の良いものを手に入れ、早めにいただくよう心掛けましょう。

 

オレに触れた者はケガするぜ…カマス

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何だかちびっ子ギャングみたいなタイトルになってしまいましたが、決して大袈裟なことではありません。
見た目はスマートで細い魚ですが、顎を開けると鋭い歯が並んでおり、少し触れただけで切れてしまう怪我を負うことがあります。
しかもこの歯、普段は寝かしていますが餌になる魚を捕食するときは歯がちょうつがい状に立ち上がるという機能性に富んでいるのです。

カマスは太平洋、インド洋、大西洋の熱帯、温暖な海域に生息し、サンゴ礁や岩礁の周辺で群れを成して行動します。
日本付近では、西日本以南の沿岸にアカカマス、ヤマトカマス、オニカマスが主に生息しています。

オニカマスに至っては体長が2メートルを超える個体もあり、鋭い歯の鬼のような顔の巨大魚は恐怖心さえ感じます。
泳ぐスピードは時速150キロに達し、獰猛な性格のオニカマスは餌となる魚類を執拗に追い回し、狙った獲物は逃がさないハンターです。
獰猛な理由はカマスの消化器は短く、すぐに餌を消化してしまうので、絶えず空腹状態にあるとのことです。
ときに人に対しても襲いかかり、大怪我をした人が世界中に何人もいます。
地域によってはサメより危険と言われることがあり、海外ではバラクーダと呼ばれ恐れられている存在です。

一般的に国内で流通しているカマスはアカカマス、アブラカマスとも呼ばれます。
体長はオニカマスよりもぐっと小さく50センチ前後、釣りの定番魚ですがハリスが鋭い歯で切られてしまうことがよくあります。
漁では定置網や延縄で漁獲されます。
秋から春が旬の季節で、脂がよく乗っており塩焼きにすると大変美味しいです。
アカカマスは鮮度がよければ刺身で美味しく食べられます。
天ぷら、唐揚げ、フライ料理に抜群で、また日干しにして干物にするとアミノ酸やイノシン酸が増えて、より深いカマスの旨みが楽しめます。
魚肉に少量の塩を足して摺ると弾力性のあるすり身になり、蒲鉾などの原材料としても最適です。

ヤマトカマスはアカカマスより身の水気が多いので生食には向きませんが、干物にするとたちまち香ばしい味が口いっぱいに広がります。

さて、海のギャングことオニカマスですがこちらは食べるのは控えましょう。
特に熱帯域に生息するオニカマスは捕食する魚が食べた餌の動物プランクトンが毒性となり、オニカマスがシガトキシンという毒に汚染されてしまいます。
これを食すると眩暈や吐き気、下痢、発熱など食中毒症状が発生します。
また、シガトキシンは熱に対しても耐性があるため、一般的な調理方法では毒を分解することができません。
以前はオニカマスが鮮魚店やスーパーで売られていたこともありますが、食品衛生法により現在は販売が禁じられています。

アカカマスの塩焼き、今年は食べたいです。
さかま図鑑で執筆を始めてから、すっかり食べたい魚が増えてしまったワタクシでございます。

画像出典元:http://www.nankaiso.com/cgis/blog/

 

鮟鱇(アンコウ)

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鮟鱇は今も昔も高級魚として人気のある魚です。白身で淡白な味でカロリーは低いが、アンコウ鍋としてなくてはならない魚です。

産卵を終えた7~8月を禁漁とし、肝が大きくなる11~2月ごろが一番おいしい時期です。
茨城県では底引き網漁によってアンコウを漁獲しています。

鮟鱇の産地は福島県から茨城県にかけてが有名な漁場ですが、近年では山口県下関での漁獲量がトップの座を占めています。

西のフグ、東の鮟鱇といわれ、秋から冬にかけての味のオオサマです。下関ではフグも鮟鱇も日本一となり、冬の2大味覚として名を馳せていくことでしょう。

アンコウは江戸時代には「三鳥二魚」と呼ばれる5大珍味の一つとして珍重されていたようです。つる・ひばり・鷭(ばん)・鯛・鮟鱇の5種類です。これらは歴史的にも名高い高級食材です。

アンコウはそれぞれの部位ごとに味や歯ごたえが異なるため、柳肉(身肉、頬肉)・皮・水袋(胃)・キモ(肝臓)・ヌノ(卵巣)・えら・トモ(ヒレ)が食用にされ、七つ道具と呼ばれています。(「飲食辞典」平凡社昭和33年に記載)

この七つ道具と野菜を加え、味噌または醤油で味付けをしたアンコウ鍋が代表的な鮟鱇の料理です。

特にアン肝と呼ばれる肝は、ビタミンA・ビタミンB12・ビタミンD・DHA・EPAなど栄養価が高く、美味しいため海のフォアグラとも呼ばれています。

アンコウは表面がヌルヌルしているため、まな板に載せて料理することは難しいため、伝統の「吊るし切り」という解体法が採られています。

アンコウ料理には
・アンコウの七つ道具を使ったアンコウ鍋
・ドブ汁・・・鍋で生肝を乾煎りし、アンコウの具材、野菜を入れて作る鍋です。漁師たちが船の上で食べたとされる古くからの料理方法です。
・友酢(供酢)・・・アン肝や皮、身などを酢味噌で合わせたタレにつけて食べます。水戸の発祥といわれ、アンコウの一品料理として有名な料理です。

・アンコウのから揚げ・・・皮や身をから揚げにして、レモン汁をかけて食べるのが通とされています。河豚に似た食感で大変おいしい。

日本ではキアンコウ(ホンアンコウ)とアンコウ(クツアンコウ)が食用として供されています。外見はよく似ていますが、市場では区別されずに販売されます。

北海道、太平洋、インド洋、大西洋、地中海の深海に生息し、餌は主に小魚やプランクトンを捕食します。種類によっては鮫やスルメイカ、カレイ、カニなどを捕食するものもあります。

アンコウの俳句

あんかうに 一膳めしの 行灯哉      正岡子規
鮟鱇の 口ばかりなり 流しもと      高浜虚子
鮟鱇鍋 河豚の苦説も なかりけり     正岡子規
鮟鱇の 肝 うかみ出し 鮟鱇鍋      高浜虚子